キジの諍(いさか)い
千々石町の橘神社の奥隣りにある中学校の脇道から、雲仙九千部岳までを山歩きしたことがある。この行程は九州自然歩道となっていた。30年近く前の事です。
2万5千分の一の地図と磁石を持っての単独行です。ジョギング練習での体力増に自信をつけて、登山熱が沸々としていた。
田代原へ続く道中の鉢巻山と吾妻岳を左に、その中腹を歩く。自然歩道は文字通りの野趣たっぷりの行程だった。
緩やかな登りはイノシシの堀跡が至る所で散見された。石積みの歩道の段々が掘り起こされていた。この歩道は長らく、人が通行していないんじゃないかと思えるくらい、草ぼうぼうで蜘蛛の巣が張り巡りされていた。
静かな独り歩きだった。
突然、キジの2羽がすぐ足元の前を、追っかけあいの喧嘩?をしながら、バタバタと私を気にもしないで、諍いながら、すぐ草むらに消えた。私を完全に無視した。え?こんなことある?
僅かな瞬間だが、新鮮な感動を覚えるぐらいの、ほっこりなキジとの出会いだった。
残りの九千部岳までの行程は地図と磁石が連れて行ってくれた。下りは雲仙温泉街へ辿り着いた。あ〜良く歩いた。路線バスで長崎へ帰った。体力バリバリの頃のお話しです。
2022.4.14記