焚き火しているとモズが声掛けて来た
畑で焚き火していると、モズが暖を取りに来た。
まだ、畑を借地している頃の話。
台風で根こそぎ倒木したレモン木や、花桃木の不要な枝を切り落として、長い間乾燥させていた。
家で発生した木材の端材も持ち込んで、畑の真ん中で、燃やそうとしていた。
この様な焚き火を時々楽しんでいた。
サツマイモをアルミ箔で包んで、火の中にほたり込んで、焼き芋を作り食ったりしたこともあった。
その日は寒かったが、風が少し吹いていて、焚き火日和だった。
ブロックと石で粗末な焚き火台を造った。着火剤は杉の枯れ葉だ。
隣地の大杉が境界線を越えて、枯れ葉や枝を借地へ落としているのを拾い集めてきた。
マッチ1本、いや、2本ですぐ点く。燃えだしたら、その上に枯れた細い小枝を優しく乗せていく。火の勢いをみて、枝の径を大きくしていく。火が安定したら、幹が大きくても火が移っていく...
煙は始めはよく出るが十分乾燥しているので、燃えだし良く、煙も収まり、煙たいほどではなくなった。大きな切り幹に腰掛けて、赤く揺らぐ炎を見て、ゆったりとした時間を楽しんでいた。
すると、一羽の鳥が、直ぐ横の無造作に束ねてた枯れ木の枝先へ止まった。モズだ!
首を振り、尻尾をゆっくり上下に振りながら、例えるなら、なんばしよっとね〜?と畑の傍を行きかう、顔見知りのご年配のおばさん、おじさんのノリで、佇ずんでるふう、だった。
モズが、寒かけん、焚き火で暖を取らせんね〜?と言ってるみたいだった。
咄嗟に、これは俳句のいい題材だと思い、しばらく考えたが、やはり無駄だった。残念ながら、その素養が無いことにすぐ気が付いた。テレビの俳句番組を観てるだけで俳句ができると思ったら大間違い。俳人だったらいい句が浮かんだだろうに、いと残念也。
モズ様はほんの数秒間、焚き火で暖をお取りになって、何処かへ旅立って行かれました。
ありがとうって、言ってたような、言ってないような...ハイ、妄想でェ〜すゥ~。
2022.4.15記