自転車と言えども気楽に乗れた時代は終わった
自宅前の坂道を数年前から、電動の自転車で駆け上る、近所のご老人がいらっしゃる。久々にお見かけした今日は、ヘルメットを被っていた。
世の決まり事は否応なく、風景を変える。自転車と言えども気楽に乗れた時代は過去となった。
38年前、大工職だった彼は私へ横2メートル、三段棚の立派な盆栽棚をヒノキで作ってくれた。だが、木製の盆栽棚は毎朝夕の水掛け、風雨に曝されて、私の盆栽熱が引くのと比例するかの様に、数年で腐り朽ち果ててしまった。
そもそも、私が盆栽を始めたきっかけは、職場の年配の方の自宅へ招かれた時に、長年慈しんできたであろう大きな鉢の皐月の盆栽仕立てを頂いたのが始まりだった。その方は大変気前よく、休日の盆栽談義を楽しみに訪問する度に、「持って行け」と、一鉢、また一鉢と下さりました。
私はそれらを庭の脇にそのまま、地べたへ並べていました。それを見かねた妻が、知り合いになった近所の奥さんの旦那さんが大工さんと聞き、盆栽棚を製作依頼したのでした。
しかしながら、彼とは、盆栽棚を作った後にも先にも、棚を作っていただいたお礼の一言以外は立ち止まり、会話した記憶は無い…
2023.8.7記