牧野富太郎博士の〝茄子(ナス)には無駄花がある〞
「親の意見と茄子の花は千に一つも無駄は無い」
古くからのことわざである。「親の意見」云々はともかく、「茄子(ナス)の花は千に一つも無駄がない」といわれるが、果たしてナスに無駄花はないのであろうか?
某耕運機メーカーのウェブサイトの「ナス栽培のコツ」のページで、『俗に〝ナスに無駄花はない〞と言われますが、本当にその通りで、咲いた花は実になります。』と記載されています。また、農家さんでブログされてる方が〝ナスに無駄花はない〞と述べていました。
さらに一件、家庭菜園されているブロガーさんが『「茄子に無駄花なし」と言われています』と肯定していました。何れも、植物学者の牧野富太郎博士が言う〝ナスには無駄花がある〞とはご存じではないようです。
『牧野富太郎の植物図鑑』 p.132より抜粋
牧野富太郎博士(*)は著書の中で、以下のように述べています。
「茄子の花には無駄花と呼ばれる実のならない花がある。
茎から一個ずつ出る花は実花で、穂になって複数の花をつけるものは、一つだけ実花で、他は無駄花である。無駄花は小さくて雄しべがあるが役に立たず、すぐに落ちてしまう。威勢のよいナスの木には無駄花が多く出ることがあり、ナスの本性である。」
2023.5.6記
(*)牧野 富太郎(まきの とみたろう、1862年5月22日〈文久2年4月24日〉 - 1957年〈昭和32年〉1月18日)は、日本の植物学者。高知県高岡郡佐川町出身。
「日本の植物学の父」といわれ、多数の新種を発見し命名も行った近代植物分類学の権威である。その研究成果は50万点もの標本や観察記録、そして『牧野日本植物図鑑』に代表される多数の著作として残っている。旧制小学校中退でありながら理学博士の学位を取得している。by Wikipedia