ミラ・フォロンは赤毛のロング・ソバージュウェーブ
今日は花冷えか? 午前11時、少し寒い。温度計を見ると、机上は17℃だった。チャンス!と思った。20℃では私の部屋のオーディオアンプは熱暴走が起こる。今季の最後かと思い、録画していたウクライナ国立交響楽団によるシベリウスのヴァイオリン・コンチェルトを視聴した。
録音は今年の2月。ドイツはコンツェルトハウス・ドルトムントでの演奏会は、会場の立派さは言うに及ばず、映像、録音ともに素晴らしい。
ソリストは女性。エレガントなドレスに白い肌、ロングの赤毛のソバージュウェーブ。カメラワークは下からの少し仰ぐようなカメラ視線が的確だ。カメラ視線が俯瞰角度だと西洋人の彫りの深い顔立ちには目の表情が影になって、一層表情が読み取り難い。
いつしか刷り込まれたのか、聞き覚えのあるような、シベリウスの調べがヴァイオリンの美しい音色と相まって、染み渡ってくる…
オーケストラの低音部が生かされて、音が広がる録音がまた素晴らしい。 客席は殆どが中年以降と思しき紳士淑女の皆さんで、マスク姿は少ない。ヨーロッパはマスク無しは早かったが、はて日本は遅すぎたのか?
ウクライナ国立交響楽団全員がウクライナ人ではないだろうが、多くがウクライナ国籍と推測するうえで、祖国はロシアの侵略侵攻によって、全国民が生死の狭間を縫っての、いつ終わるとも知れぬ戦争真っ只中。近隣諸国に限らずヨーロッパ中が身近に、不安な世情を体感していることだろう。
安寧な暮らしはいつ訪れるのか、改めて平和な日本を維持しなくてはと思いつつ、静に聴き入っていると、外では、明日投票日の県会議員選挙の立候補者の広報カーが、ウグイス嬢の必死の形相が窺えるような、けたたましく名前を連呼しながら、走り過ぎて行った。
2023.4.8記
ミラ・フォロン:シベリウス ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op 47
ヴァイオリン:ミラ・フォロン
指揮:ヴォロディミル・シレンコ
ウクライナ国立交響楽団
コンツェルトハウス・ドルトムント
https://www.youtube.com/watch?v=5jBdOXNuaVs&t=390s