百円札が板垣退助の頃
夜遊び帰りの私は思案橋から電車(*)で、諏訪神社前で降りた。既に最終バスは無い。
西山二丁目に住んでいた。ここから緩やかな登りだ。歩くのは辛い。タクシーに乗りたい。
しかし、金は無い。二百何十円程のカネがねぇー。
電停から車道を横切り、屋台の脇を歩くと、思わず、目を見開いた。
発見した。クシャクシャだが、薄赤色の百円札だ! もちろん、拾った。
えっ?三枚だ! やったー! タクシー乗れる! 遊び疲れは吹っ飛んだ。
だが、待て...明日も金はいる。
私は運は大事にする...と、独りうそぶいた。
いそいそと歩いて帰った...ルンルンの20歳(ハタチ)の夜...。
(*)長崎での電車は路面電車のこと。
2022.1.16記