蜂に3回刺された
其の一
盆栽仕立ての1本の黒松が畑に地植えしてあった。借地の時、地主さんがそれは残しといてくれ、だった。
最初は身の丈50cmぐらいだったが、何年も放置していると、背が伸びて、枝先を正月用の飾りつけに使うほどに立派に成長していた。
その葉に隠れるように、蜂の巣があった。軽い気持ちで、長い竹棒の先で突っついた。服装はいつものように地下足袋、長袖シャツ、麦藁帽、そして軍手だった。
間髪入れずに、蜂が来襲した。太い注射針の焼いたやつで刺されたような、火が出るような鋭い痛みが手の甲からバチバチと、棒を放り投げ、あたふた逃げ出した。
しばらくすると痛みが治まった。ハチの巣目がけて、バケツで貯水をぶっかけてやった。3杯ぶっかけてやった。蜂は水に濡れると戦闘力が無くなるみたいで、巣も放棄するみたい。巣を松の幹から叩き落して、踏みつぶしてやった。
其の二
畑と隣家の境界である、盛り土と石垣に、野放図にのびた雑草を、背負い式のエンジン付き草刈り機を使って、ナイロン刃を付けた先端を上下に動かし、せわしく草刈りしていた。
突然左腕に鋭い痛みが走った。ハチの巣があったようだ。ひえ〜とばかりに、遁走した。
其の三
作付けしていた畝の脇で、逆さにしたポリバケツの上に、風で飛ばされないように石を乗せていた。後日、その周囲をカマで忙しく雑草を刈っていた。そのバケツを動かして、草を刈ろうと右手を左に動かした瞬間、チクチクチクチク、あたたあた〜、飛び上がり全力で逃走した。
手の甲が被害を受けていた。バケツで貯水をぶちまけてやった。実行犯等を隠れ家もろとも始末してやった。
蜂の種類はいずれもアシナガバチで、毒性はスズメバチほどではないようだ。刺された当初は腫れがあるが、痛みはすぐ軽くなるので、すぐ直るだろうと、医者に診てもらうほどでもないと思っていたが、2,3日経っても、腫れが引かず、むしろ、腫れが拡大してくる。
これが私の蜂刺されによる症状である。1,2回めは被害後3日めで病院へ行った。
3回めの時は、治療しないと直しきれない体質だと自覚して、すぐ来院した。
私のすでに亡くなったオヤジは、彼が60代の頃、山歩きしていて、頭の頂部を4カ所刺され、小さな瘤が出来ていた。医者にも行かず、薬も付けず、その瘤を指しながら、蜂に刺されたと言って笑っていた。そこのところは優性遺伝して欲しかった。他はいらんけど。
2022.4.22記