小麦でつくる麦茶の味
農地借り受け時代に小麦づくりに挑戦したことがある。
小麦は鹿の食害をものともしないで、ぐんぐん成長し、手間も掛からず、立派に麦穂を実らせた。
収穫は草刈りの手カマで刈り取った。
脱穀は道具無しで、手袋を付けて、麦穂から麦もみを手で、そぎ落とした。
脱穀した麦もみには、麦の葉や藁くずが混ざっているので、これを取り除くため、
幅50cm程のテミと呼ばれる、持ち手がない塵取りを大きくしたようなものを代用して、もみふるいをやった。
もみふるいは脱穀した麦もみをテミ中に入れ、風上を背に、テミを下から上に、麦もみを放り投げるようにしながら、風の力でゴミを飛ばして、麦もみを選り分けた。
次は、小麦を挽(ひ)く工程である、麦もみの粉砕は家庭用の電動コーヒーミルを代用した。
ここまでは、十分素人でも対応できた。問題はこの後の行程だ。製粉作業は厄介だった。
製粉は粉砕が済んだ小麦粉状の小麦をふるいで、小麦のふすま(小麦もみの外皮)を取り除く工程である。
製粉作業は粉ふるいを使った。目が粗目、中目、細目と工程をこなした。台所が粉まみれになった。それでも、きれいな白色のきめの細かい小麦粉にはならなかった。
市販のものと比べて、雲泥の差である。天ぷらで一度使用したのみ。製粉は諦めた。
後日、小麦を麦茶にしたら、美味しいよ。と、畑で顔見知りのご高齢の婦人から知恵を頂いたので、やってみた。
天ぷら鍋で小麦もみを油なしで、炒って、香ばしい匂いと共に、焼き目が付き黒くなるまで炒った。
出来上がりを大きなヤカンに入れ、上からお湯を注ぐ。室温に戻してから、小分けして、冷蔵庫へ。冷やした小麦の麦茶は甘くておいしかった。だが、3回ほどやってみたがこれも止めた。
小麦の麦茶は甘くておいしいが、日持ちがしないのだ。市販の大麦の麦茶は冷蔵庫で3、4日でも味の劣化はそれほど感じないが、私が作った小麦の麦茶は2日目からは味が抜けたように、3日目は不味いと感じた。どうも、小麦の麦茶は日持ちがしないようだ。
小麦づくり一年目の収穫60kgはほとんどが畑の肥料となって、土に帰って行った。
労多くして益少なし、と思うか。
経験は何ものにも代え難い、と思うかはあなた次第 (なぁ〜ん、て (泣))。
2022.4.21記